die-in(ダイイン)
「社会」を見つめ、「世界」を感じる。それが悲惨だからこそ。
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光市事件(差戻審)と安田事件(控訴審)、判決
<4月22日>
光市事件の差戻審は、弁護側の主張がまったく認められず、死刑判決となりました。弁護側は即日上告しており、これから更に最高裁での判断を待つこととなります。
判決文を読んでおらず、報道を通じて概要(と報じられているもの)をいくつか見ただけなので、判決そのものについて詳細な感想は控えます。ただ、どうやら「被告は弁護人の影響で反省する機会を失い、嘘の供述で死刑を免れようとしている」的な文言があるようで、まるでワイドショーの受け売りみたいな判決だなというのが第一印象です。

<4月23日>
さて一方、翌日は「安田事件」の控訴審判決でした。きのう弁護人、きょう被告人と、安田弁護士は相変わらずご多忙です。
こちらは一審判決から逆転して有罪、罰金50万円の判決です。一審では「アンフェアとの評価を免れない」とまで批判された検察側の主張が、今回は事実認定においてほぼ受け入れられたとのこと。
とはいえ検察求刑は懲役二年ですから、それと比べれば軽い刑罰です。量刑も検察主張より引き下げられました。なんとか許容範囲の微罪で、検察がギリカツの有罪を勝ち取った感じでしょうか。
尚、未決勾留期間を1日一万円で換算して罰金額を相殺するそうなので、罰金刑といっても実際は罰金を支払いません(訴訟費用は被告人負担)。確か300日近い拘留だったわけですが、1日一万円換算なら差し引き250万円の釣りがもらえるかと言えば、別にそういう話ではない。そりゃそうだ。
私の低い知識で妄想すると、控訴封じ臭い判決だと思います。あのムチャ論法で(量刑は軽くとも)有罪を取れたんだから検察は控訴しないだろう、安田弁護士側も、控訴すれば最悪の場合は弁護士資格を失いかねないんだし、罰金も実際には払わなくて良いし、たぶん控訴しないだろう。
とか、そういった読みが裁判所側にあるような無いような。



光市事件の控訴審判決を受け、ビデオニュースでは安田弁護士出演の回を再配信中です。
「私が重大犯罪の被告を弁護しなければならない理由」
ただし有料。つか、ぶっちゃけYou Tubeで見れるよね・・・・。
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【2008/04/23 23:21】 | ニュース | トラックバック(0) | コメント(0) |
綿井健陽がジャーナリスト引退宣言!?
私が綿井さんの存在を認識したのは、彼の監督した「Little Birds イラク戦火の家族たち」を見たことだった。もっとも、それまでにもTBSなどで、戦地から取材報告する姿を見ていたのかも知れないけれど。
いずれにしろ、彼が光市事件の取材を始めたとき、なぜ裁判も終盤の今になって、しかも戦場ジャーナリストが裁判の取材を?と不思議だった。きっと綿井さん本人も、少なくとも取材当初はその理由がよく分かっていなかったのではないか。
それでも、戦争を伝えることと同じ何かが、この裁判(と、それに対するメディアや世間の反応)を伝えることには流れているのだと思う。それは感覚的によく分かる。
ともあれ、「途中参加」とも言える形で綿井さんは光市事件裁判を取材し始めた。そして、光市事件に関心があり、特に大手メディアの「光市事件報道」に疑問を持ってきた人々にとって、すぐさま「特別な存在」になった。
遺族感情のみに依拠した報道とは一線を画す内容を、彼は取材し、伝え続けたからだ。その媒体は限られていたし、社会に対して大きな力になったとは言い難いだろう。それでも、遺族感情ばかりに頼り、弁護団バッシングに明け暮れるマスメディアに辟易としている人々にとって、異なる側面から情報を提供してくれる重要な人であった。

その綿井さんが、差し戻し審判決を前に「引退宣言」を行った。
【本文さしかえ】20日(日)放送番組と掲載誌のお知らせ
<該当エントリーより引用>
もし被害者遺族の男性の言うように、弁護側の主張が「荒唐無稽」であると裁判所が同じように認定した場合、なおかつ検察側の最終弁論で述べられている「当審における審理の結果によっても、被告人につき死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情は、これを一切見出すことができない」と裁判所が同じように判断した場合は、私はこれまでの取材などで書いたこと、発表してきたことなどの責任を取って、すべてのジャーナリスト活動から身を引くことにした。

条件付の引退宣言だったが、差し戻し審の判決は、残念ながら条件をすべて満たすものとなっているようだ。前著のエントリー(4月21日20:35)以降、ブログはまだ更新されていない。

本当にこれで「さようなら」だとしたら、悲しいとか残念というより「怒り」を禁じえない。
私は綿井さんに対して、勝手な「情」がある。なにしろ、彼は私にとっても「特別なジャーナリスト」であるからだ。感謝しているんだ。しかしその意味で言えば、むしろ「情」としては彼の引退に反対する気持ちにはならない。誰でも、自分にとっての「責任の取り方」があるのだし、それを貫徹する人など今時少ないとしても、綿井さんは貫徹する人なのだろうと思う。
だが、ちょっと待て。
これで綿井さんがジャーナリストを辞めてしまえば、それはどう考えても「裁判報道における先例」になってしまう。
「悪人はさっさと殺せ」の大合唱に、「遺族がかわいそうだから殺せ」の大合唱に、そうした「世間の風」に異を唱えるようなジャーナリストは、結局、職も失って面倒なことになるだけじゃないか。
と、多くのジャーナリストが感じるに違いない。
今ですら数少ない「違う視点からの取材」など、もう本当に、徹底して誰もしなくなる。「世間の風」を読んで勝ち馬に乗るような内容ばかりが、テレビでも、新聞でも、雑誌でも、垂れ流される。裁判員制度も始まろうという中、事件報道・裁判報道はますます「極悪な加害者vsかわいそうな遺族」を伝えるもの一色となるのではないか。
それで良いはずが無い。むしろ、そうした流れに抗うための一年に渡る取材ではなかったのか。
他人の人生に口を出すなんておこがましいけど、ましてや職業選択という大きな決断にとやかく言いたくは無いけれど、でもこれは本当に、頼むから考え直してほしいのだ。
【2008/04/23 22:56】 | ニュース | トラックバック(0) | コメント(2) |
光市事件裁判でBPOが意見書
やや遅れた情報だが、光市事件・および光市事件裁判を伝えた一連の報道について、BPOが意見書を提出した。
光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見
全体的に相当手厳しい内容で、本件放送においては
●事実関係について詳細な取材のないまま、遺族発言のみに依拠した内容が目立つ。取材不足のまま拙速に報道したか、そもそも被告や事件の事実関係について取材・解明は不要と考えていなかったか。被告の人間像や事件の事実関係を決め付けて報じなかったか。
●刑事裁判の仕組み(当事者主義や、検察・裁判所の存在、弁護人の役割)について説明が乏しく、被告・弁護団vs被害者遺族の構図で裁判を伝えている。番組制作者の司法制度に対する理解が浅いか、もしくは知っていてあえて軽視したと見られる内容が多かった。
●感情的な姿勢のものが極端に多い。
などが重ねて指摘されている。(上記は私による容訳)
また意見書では、本件報道にかかわる「取材不足」への強い指摘もなされている。つまり、単純に報道が「偏向」していたのみならず、そもそも取材自体が(特に被告の人間像や事件の事実関係、裁判における弁護側の主張内容・主張意図、検察側の主張内容・主張意図について)極めて不足していたという点である。
意見書から引用すれば”これでは、「悪いヤツが、悪いことをした。被害者遺族は可哀相だ」という以上のことは、何も伝わってこない。巨大な放送システムを持ち、大勢の番組制作者がかかわり、演出や手法のノウハウを蓄積しているはずのテレビが、新聞の見出しを見ただけで、誰でも口にできるようなことしかやっていない。”ということだ。
これら指摘内容のほとんどは、既に一部の「識者」からされていたものだし、不肖私を含め、多くのブロガーが報道の最中で指摘し続けてきたものと一致している。既に言い尽くされた印象の内容も多いが、「公」の機関から「公的」に指摘が出たことは歓迎すべきだと思う。
差し戻し審の判決が迫る中、これを受けて報道姿勢に変化は見られるのだろうか。


<番組情報>
一連の過熱報道とは異なる視点から取材を続けていたジャーナリスト・綿井健陽さんを取り上げた番組(でいいのか?)が放送されるようです。
報道の魂「光市母子殺害事件 ~もうひとつの視点」
4月20日(日)25時5分~OA

<関連>
お笑いみのもんた劇場「母子殺害事件裁判 放送改善を」
意見書の提出を伝えるTVニュース、及び新聞報道がまとめられています。
【2008/04/17 21:45】 | ニュース | トラックバック(0) | コメント(0) |
「不可逆」な事件と「不可逆」な制度
バイトを終えて帰宅する途中、携帯からアクセスしたmixiのコミュニティで死刑の執行を知る。
おそらく複数の方が指摘することだろうけど、今回執行された中には冤罪を訴えている渦中のケースも含まれており、なんていうか、「事情がどうあれとにかく執行するぜ」的な強固な姿勢を感じざるを得ない。
これで、鳩山法曹による死刑執行は3回目。就任から約7ヶ月で10人となり、既に長勢前大臣(就任期間11ヶ月)が執行した人数に並んだ。しかも、前回執行からわずか二ヶ月である。尋常ではないスパンの短さだ。これじゃ単純計算で年6回の執行である。それも毎回3~4名が執行されているから、このままだと年間20人を超える。
などと考えていたら、ふいに「人命」を数で計算している自分に気持ち悪さが襲う。
いわゆるヒューマニズムくさい言説には鼻白んでしまう私だけれど、それでも、こうも人の命が続けざまに奪われていくことには抗いたい。

さて、そんな今日(4月10日)はこういう日でもある。
◆木下あいりちゃんのご冥福をお祈りします。
2005年に起きた、いわゆる「広島小1女児殺害事件」の被害女子の誕生日だそうだ。

「生命」は不可逆である。
科学の進んだ今も、当たり前だが人は生き返らない。
「不可逆」な事件が、「不可逆」な制度によって、次々と「処理」されていく。
いったいなにが「解決」で、いったいなにが「正解」なのか。そもそも、ハッキリとした「解決」や「正解」があるのか。分からないまま制度だけが淡々と実行されていく。

mixi上の日記では、執行のニュースに対して相変わらず賛成の声が少なくない。というか、多い。
生命と同じように、この死刑推奨社会もまた、もはや「不可逆」なのか。


<関連>
保坂展人のどこどこ日記 「4カ月で10人」鳩山大臣・大量処刑に抗議する
【2008/04/10 22:02】 | 死刑制度 | トラックバック(3) | コメント(1) |
綿井健陽の『逆視逆考』トーク 第1回「光市母子殺害事件~裁判で何が争われてきたのか」
久々の更新なのに記事紹介のみで大変恐縮ですが、「白頭の革命精神@ネタ切れ人民共和国統合不定期更新日記」にてトークショーの模様が詳しく紹介されていますのでご参考ください。
光市事件、差し戻し審の判決は22日。
どうなるのか、相変わらず注目はしています。
【2008/04/05 01:44】 | ニュース | トラックバック(1) | コメント(0) |
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Author:ささきち
1981年生まれ。150cm。
なんかいろいろマイノリティ。
旧ブログはこちらです。
メールはdie-in@excite.co.jpまで。

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