die-in(ダイイン)
「社会」を見つめ、「世界」を感じる。それが悲惨だからこそ。
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綿井健陽がジャーナリスト引退宣言!?
私が綿井さんの存在を認識したのは、彼の監督した「Little Birds イラク戦火の家族たち」を見たことだった。もっとも、それまでにもTBSなどで、戦地から取材報告する姿を見ていたのかも知れないけれど。
いずれにしろ、彼が光市事件の取材を始めたとき、なぜ裁判も終盤の今になって、しかも戦場ジャーナリストが裁判の取材を?と不思議だった。きっと綿井さん本人も、少なくとも取材当初はその理由がよく分かっていなかったのではないか。
それでも、戦争を伝えることと同じ何かが、この裁判(と、それに対するメディアや世間の反応)を伝えることには流れているのだと思う。それは感覚的によく分かる。
ともあれ、「途中参加」とも言える形で綿井さんは光市事件裁判を取材し始めた。そして、光市事件に関心があり、特に大手メディアの「光市事件報道」に疑問を持ってきた人々にとって、すぐさま「特別な存在」になった。
遺族感情のみに依拠した報道とは一線を画す内容を、彼は取材し、伝え続けたからだ。その媒体は限られていたし、社会に対して大きな力になったとは言い難いだろう。それでも、遺族感情ばかりに頼り、弁護団バッシングに明け暮れるマスメディアに辟易としている人々にとって、異なる側面から情報を提供してくれる重要な人であった。

その綿井さんが、差し戻し審判決を前に「引退宣言」を行った。
【本文さしかえ】20日(日)放送番組と掲載誌のお知らせ
<該当エントリーより引用>
もし被害者遺族の男性の言うように、弁護側の主張が「荒唐無稽」であると裁判所が同じように認定した場合、なおかつ検察側の最終弁論で述べられている「当審における審理の結果によっても、被告人につき死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情は、これを一切見出すことができない」と裁判所が同じように判断した場合は、私はこれまでの取材などで書いたこと、発表してきたことなどの責任を取って、すべてのジャーナリスト活動から身を引くことにした。

条件付の引退宣言だったが、差し戻し審の判決は、残念ながら条件をすべて満たすものとなっているようだ。前著のエントリー(4月21日20:35)以降、ブログはまだ更新されていない。

本当にこれで「さようなら」だとしたら、悲しいとか残念というより「怒り」を禁じえない。
私は綿井さんに対して、勝手な「情」がある。なにしろ、彼は私にとっても「特別なジャーナリスト」であるからだ。感謝しているんだ。しかしその意味で言えば、むしろ「情」としては彼の引退に反対する気持ちにはならない。誰でも、自分にとっての「責任の取り方」があるのだし、それを貫徹する人など今時少ないとしても、綿井さんは貫徹する人なのだろうと思う。
だが、ちょっと待て。
これで綿井さんがジャーナリストを辞めてしまえば、それはどう考えても「裁判報道における先例」になってしまう。
「悪人はさっさと殺せ」の大合唱に、「遺族がかわいそうだから殺せ」の大合唱に、そうした「世間の風」に異を唱えるようなジャーナリストは、結局、職も失って面倒なことになるだけじゃないか。
と、多くのジャーナリストが感じるに違いない。
今ですら数少ない「違う視点からの取材」など、もう本当に、徹底して誰もしなくなる。「世間の風」を読んで勝ち馬に乗るような内容ばかりが、テレビでも、新聞でも、雑誌でも、垂れ流される。裁判員制度も始まろうという中、事件報道・裁判報道はますます「極悪な加害者vsかわいそうな遺族」を伝えるもの一色となるのではないか。
それで良いはずが無い。むしろ、そうした流れに抗うための一年に渡る取材ではなかったのか。
他人の人生に口を出すなんておこがましいけど、ましてや職業選択という大きな決断にとやかく言いたくは無いけれど、でもこれは本当に、頼むから考え直してほしいのだ。
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【2008/04/23 22:56】 | ニュース | トラックバック(0) | コメント(2) |
<<光市事件(差戻審)と安田事件(控訴審)、判決 | ホーム | 光市事件裁判でBPOが意見書>>
コメント
さっき見たら、本人のブログに「記者会見」が載っていました。
大丈夫だったようですw

とりあえず文面は意気軒昂で、こちらもずいぶんほっとし、勇気づけられました。
とりあえず、ご報告まで。
【2008/04/26 06:51】 URL | SMS #NkOZRVVI[ 編集]
こんな重要なジャーナリストを失うとは、安田氏の罰金刑と並ぶ絶大なダメージです。きのう、あれを見たときは、驚きました。

私も前から彼に注目していて、ブログ主さんとほとんど同じ気持ちですが、しかしなんというか・・・

裁判だけをとってみても、戦後に限っても、日本の裁判史は、上から下まで理不尽な判決だらけな訳です。今に始まった話ではない。しかも、最高裁による差し戻し判決で、今回の結果はほぼ見えていました。覆る可能性は0.1%も無かった。


熟慮の末なら、掛ける言葉はないです。そうでないなら、せめて小休止にして欲しい。

【2008/04/24 02:05】 URL | SMS #NkOZRVVI[ 編集]
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1981年生まれ。150cm。
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